【レビュー】子どもが10歳になったら投資をさせなさい

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学歴よりも必要なお金のこと

著者の横山光昭さんは、有名なファイナンシャルプランナーで、様々なメディアで執筆も行っています。数多くの家計相談を受けている横山さんは、実は子どもが6人の大家族のお父さんという一面もあります。また、奥さんもファイナンシャルプランナーで、家族間でもお金の話題がタブーになっていないといいます。

本書のタイトルからすると、投資の話がメインであるかのように考えてしまいますが、内容としては、ファイナンシャル・プランニングの話を子どもにも伝えて、実践させることが主題であると感じます。本の構成も、序盤にお金の使い方を取り上げ、その次にお金の増やし方、最後にお金と社会の関係性や人生とお金の関係について論じており、大人になっていくまでの過程で、子どもを如何にしてお金に困らない人生を歩めるように育てるかを考えさせるようなものになっています。そのため、これまでお金について深く考えたことがなかった大人でも、人生とお金について考えるきっかけになるかもしれません。

ただ単に、節約をすればいいということではなく、豊かな人生を送るために、どのようにお金を使うべきか、消費をする際や投資行う際に自分の判断が適切かどうかを考える習慣の重要性に触れられていることは、とても好感が持てます。ファイナンシャル・プランニングの基本が徹底されており、実際に子どもにお金の教育を行ってきた著者だからこその著者の経験も反映されているため、お金に関する物事について子どもにどう伝えるべきかを理解しやすくなっていると思います。

また、投資に関していえば、著者は投資信託を強く推薦しています。ローリスクローリターンであり、長期で見れば、着実に資産を増やすことができることが理由としてあげられています。FXや仮想通貨はギャンブル性が高いため、予算のうちの浪費の範囲で行うべきだとしています。

さらに株式投資や不動産投資はリスクが高いとして深くは触れられていません。投資のスタンスは人それぞれなので、この点に関しては、人を選ぶ内容でしょう。ドル・コスト平均法による投資信託の長期積立は魅力的です。しかし、投資を考えていく上で、投資信託以外の候補ももう少し詳しく解説しても良かったように感じます。

横山 光昭 (著)
出版社: 青春出版社 (2019/11/21)、出典:出版社HP

はじめに

横山家は6人の子どもと妻、私の8人家族です。今どき6人きょうだいというとビックリされますが、社会人の長女を筆頭に、大学4年生で就活を終えたばかりの次女、大学1年生になった三女、高校1年生の四女、小学5年生の五女、小学2年生の長男という構成です。

自分で給料を稼ぐようになった子から、毎月数百円のおこづかいでやりくりをしている子まで、そのお金事情はさまざまです。

そして、妻も私もファイナンシャルプランナーで、家計再生コンサルタントとして2万3000人以上の方の家計の相談に乗ってきました。

そのような環境もあって、わが家では子どもたちともオープンにお金の話をしています。その一例が、毎月行っている「家族マネー会議」。子どもたちは家の収入、支出、貯蓄額から投資額までお金に関するすべての数字を知っていて、家族のお金の使い方についていつも議論しています(これについては、後ほど詳しく説明します)。「そうした取り組みを続けてきた甲斐あってか、長女は節約家で計画的にお金が使える人になっています。一方、三女、四女はのんびりマイペースですが、お金の使い方にははっきりした目的意識が感じられます。同じ家庭で育っても、金銭感覚には個性が反映されるのが面白いところです。

本書はファイナンシャルプランナーとして、そして現在進行形で子育てをしている一人の父親として、子どもたちに伝えたいお金の話を凝縮した一冊になっています。タイトルに「投資」という言葉が入っていますが、それはどんどんお金儲けをしましょう、ということではありません。

投資というと株式の短期売買やFX、仮想通貨などをイメージされるかもしれませんが、本書でおすすめするのは、「長く、少しずつ運用を続けることで成果を出す投資」です。商品としては、おもに投資信託を利用します。
ここで言う~長く”とは、最低でも10年、通常は20年以上を想定しています。というのも、子どもたちには、大人にはない「時間」という強力な武器があるからです。積立投資では、期間が長くなればなるほど運用益が大きくなっていきます。

金融庁のデータでは、投資信託を5年間保有している場合は元本割れする可能性もあるのに対して、3年間保有している場合はすべて年率2~8%の運用益を手にしています。
長期の積立投資では、やり方を間違えなければ着実にお金を増やすことができるのです。実際、長女は20歳になってすぐ「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を始めて毎月2万3000円ずつ積み立てていますが、資産は順調に成長しているようです。「老後2000万円問題」がニュースになったときも、「8年後でしょ?このペースなら、全然大丈夫だよ」と笑っていました。

また、「10歳」がお金について考え始めるスタート地点になるのは、5女1男の子育てを通じた経験知であり、ご家族向けのセミナーで接してきたお子さんたちから伝わってきた実感でもあります。

10歳前後になると、子どもたちは「お金は使ったらなくなってしまう」ということ以上に、先を見すえたお金の使い方ができるようになります。「今ここで欲しい物を全部買ったら、お小遣いがなくなってしまう。いったん我慢して、来月のお小遣いと手元のお金と合わせてもっと欲しい物を買おう」「お年玉をもらってすぐに全部使うのではなく、毎月のお小遣いが足りなくなったとき補えるように、残しておこう」

10歳は、そんなふうに計画的な使い方を自分なりに考えられるようになる年齢です。このタイミングでお金にまつわる知識、投資に関する情報を親子で学ぶことによって、お子さんたちの金銭感覚は一気に磨かれていきます。
特に投資に関しては、余計な思い込みがない分、大人以上に勘所を押さえて吸収していってくれるように感じています。

「子どもにはお金に困らない人生を歩んでもらいたい。そのような、親であれば誰もが持っている気持ちに応えたいと、本書の原稿をまとめました。「でも、私自身がお金に詳しくないから、ちゃんと教えられるか心配……」という方でも大丈夫! 子どもと一緒に学ぶつもりでページをめくってみてください。お金と投資について知ることで、そのままお金と社会についても一緒に勉強できます。

子どもとお金の話をしながら、気がつけばあなたのお金リテラシーも向上している―。そんないいことが少しでも起これば、著者としてそれ以上の喜びはありません。

横山 光昭 (著)
出版社: 青春出版社 (2019/11/21)、出典:出版社HP

子どもが10歳になったら投資をさせなさい もくじ

はじめに
プロローグ
あなたと子どもの今を知る、6つの「お金」の質問
あなたがわかれば、子どもにもわかる!
質問1
子どもがもらったお年玉をお友だちに配ってしまった!
「何がいけなかったの?みんな喜んでいたよ」と言われたら、あなたはどう答えますか?
お金の小さな失敗は将来の大きな失敗を防ぐ
質問2
子どもに「お金持ちになるにはどうしたらいい?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか?
子どもがお金について考えるようになる二つの質問
質問3
子どもから「老後2000万円問題って何?」と質問されたら、あなたはどう答えますか?
「お金」は最高の教材
質問4
あなたは夫婦や家族で、家庭のお金について話していますか?
“お金の話はタブー”になっていませんか?
質問5
あなたには投資の経験がありますか?
収穫は10年、20年後
質問6
お金に関するどんな成功体験、失敗体験がありますか?
「お金をどう使うか」は「どう生きるか」と同じこと

PART 1 子どもと一緒に 「お金の使い方」を考える
子どもの気づきになるおこづかいのあげ方
「報酬制」がおすすめできない理由
「何が欲しいのか」より「何が必要なのか」
“お金の失敗”は早い方がいい
人生最初の「大金」はお年玉
おこづかいの前借りはNG
「ニーズ」と「ウォンツ」のフィルターにかける
「欲しい」は「必要」を満たしてから
消費、浪費、投資の「家計三分法」
ゲームは消費? 浪費? それとも投資?
「おこづかい帳」をつけさせるには
「家族マネー会議」のすすめ
「家族マネー会議」の思わぬ効用
お金の使い方をプレゼンさせる
「みんなで使うために欲しいものはある?」と聞いてみる
子どもに旅行や外出の予算を立ててもらう
お金を適切に使うことの喜びがわかる
体験からものの値段が理解できる
子どもの専用口座を開設しよう
残高や使い方はゆる~くチェック
カードの練習には「デビットカード」が最適
カード払いの怖さを疑似体験

PART 2 子どもに 「お金の増やし方」を教える
「お金が増える」を子どもにイメージさせる
投資とはお金に働いてもらうこと
投資は早く始めるほど有利
「分散」「積立」「長期」がキーワード
いくら貯金があったら投資を始めるべきか
投資のしすぎにも要注意
値動きの少ない投資信託がおすすめ
期間が長くなるほど複利の力が効いてくる
複利は雪だるま式?
投資にとって時間は神様
これだけある積立投資のメリット
リスクを「危険性」と教えてはいけない
早く始めるほど資産は大きく育つ
「やらないリスク」についても教えてあげよう
投資をする前に知っておきたい4つの心得
どんな商品に投資すればいいか
成長するのは日本でなくてもいい
増やし方はプロに任せる
投資とギャンブルはどこがどう違う?
投機をやるなら「浪費」の範囲内で
保険の役割を子どもに説明できますか?
「保険で教育費を貯める」をおすすめしない理由
不労所得は尊いものだと教える
まずは子ども名義の証券口座をつくろう
税金などの手続きは楽にすませたい
「分散」を実現できる投資信託はこの二つ

PART 3 子どもと一 「お金と社会」について学ぶ
おこづかいは「円」と「ドル」の選択制
ドルを使える場所に行ってみたくなる
お金で教えると「先のこと」を考えられる
「将来を見すえる力」を養う
「自分事」だと本気でお金について考える
どの年齢になったら何をどこまで教えるべきか
親が守るべきたった一つの原則
お金についてオープンにすることの大きな意義
子どもが「学費がどのくらいかかるか」を知ると―
世界のニュースと自分のお金は結びついている
株価と自分のお金も連動している
キミは将来どうやって稼ぐのか?
大学生になったら学費は一部負担
貧乏だと不幸? 裕福だと幸せ?
結局、お金に対する自分軸が重要
お金の価値は変化し続けている
投資を始めるべきなのは常に”今”
会社の仕組みがわかると株もわかる
子どもに身近な会社に投資してみる手も

おわりに 生きたお金の使い方
震災のときにわかった子どもたちの成長

横山 光昭 (著)
出版社: 青春出版社 (2019/11/21)、出典:出版社HP