知識も手間も不要!NISA口座だけで7万3千円を6年間で100万円にした私の方法

最終更新日

知識がなくても投資はできる

株式投資に関する本は、市場に多く流通していますが、その中で成功した投資法の紹介をしている書籍もかなりの数があります。本書も成功した投資法を紹介していますが、他の投資本とはやや毛色が異なります。一般的な投資法では、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析を行い、資金管理を行いながら投資を行います。しかし、本書の著者の場合、株式投資にあまり関心がなく、株式投資について調べることにも消極的です。そのため、著者は、株式投資にあまり関心がなく、楽に稼ぎたいサラリーマンに本書を勧めています。
注意点として、本書は個人出版の本であり、ページ数も38とボリュームが少ないため、本当に株式投資を学びたい方には向きません。著者の言うように、株式投資に関心がある方ではなく、損をしてもいい金額のお金を株式投資で増やしてみたい方が参考として読む本と言えます。
タイトルには、7万3千円を6年間で100万円にした、とありますが、この7万3千円という金額には理由があり、序盤で説明されています。大した理由ではありませんが、著者の性格が出ており、妙な納得感があります。冒頭にはさらに、株式投資を始めた頃の状況や投資手法についても振り返られており、リーマンショック直前に始めたタイミングの悪さと投資手法の拙さにより失敗した経験が書かれています。リーマンショックで大きな含み損を抱えた後、残っていた資金をとある高配当株に投資して失敗する様子なども描かれ、株式投資に注力しないと決めた理由の一つになったと言います。
転機となったのは、アベノミクス相場が始まった後で、日経平均株価の回復が、株式投資を7万3千円で始めるきっかけとなったそうです。その際に形作られた投資法が、7万3千円を6年間で100万円にした方法です。この投資法は、個人投資家からすれば、目新しいとまでは言えないと思いますが、株式投資にあまり時間をかけたくない方であれば、実践しようと思えるかもしれません。実際に売買した銘柄のリストも掲載されていて、どのように資産が増えていったのかがわかります。倒産リスクが比較的高い投資法であるものの、全体的な価格変動リスクはさほど高くないとも言えます。銘柄選びの基準が示されていますが、その基準でスクリーニングを行えば、著者の投資法を真似することは簡単にできます。また、買うタイミングの判断自体はさほど難しいものにはならないですが、売る判断は、やや難しくなっています。著者の経験談を参考にして、売るタイミングを決めても良いかもしれません。投資資金の投入の仕方については参考となる点があると思います。
全体的に、著者の経験が書かれており、一般的な投資本よりも再現性に疑問符がつきます。ただ、著者がブロガーということもあり、読み物としてはおもしろくなっています。

本書の構成としては、5つのチャプターに分かれており、プロローグ、7万3千円しか株式市場に投入しない理由、私の小型株ほったらかし投資法、本投資のコツ、あとがきの5つの項目があります。

弱小大家父さん (著)
出版社 : NextPublishing Authors Press (2021/1/18)、出典:出版社HP

目次

プロローグ
7万3千円しか株式市場に投入しない理由
私の小型株ほったらかし投資法
本投資のコツ
あとがき

プロローグ

2014年の8月にNISA口座を開設し、7万3千円を入金して、そこからは追加入金せずに個別株の運用を続け、2020年1月時点で100万円を超えるまでになった。
始めた当初はまだサラリーマンだったが、ブログには書いているが、2018年に会社を退職して不動産投資によりセミリタイア生活に入っている。株式投資に関してはセミリタイア生活に入っても、デイトレードに転向するわけでもなく、サラリーマン時代と同じ手法を継続している。よって、退職前後で、増やすペースはほぼ変わっていない。

これまで、7万3千円から100万円までのNISA口座での取引の戦績は34戦33勝1敗である。6年と少し運用してこれしか勝負していない。つまり取引頻度は年6回程度である。サラリーマン時代には、平日の激務と休日の不動産投資と家族サービスで、株に割く時間はほとんど取れなかった。しかし、時間があったら、株を真面目に研究したかというとそんなことはない。
株式投資より不動産投資の方が断然に興味があり、ブログにいろいろと書いてあるが休日は不動産投資のほうに時間を掛けることが圧倒的であった。
正直、株に関する興味は薄く、会社四季報すら買ったことも無く、また今でも株の口座を1ヶ月以上見ないこともザラにある。これまでに株式投資の参考に購入した本は1冊の新品文庫本以外は、ブックオフで買った一冊100円の中古本数冊である。セミナーに参加したことも、誰かに直接教わったことも無い。
そんな人間でも、アベノミクスの恩恵があったことは否めないが、株に関してまったくのド素人が、日経平均以上のパフォーマンスを出せたのは、私の考えたいい加減なトレードの方法が、偶然にも良い手法であったからとしか思えない。なぜなら、2014年8月の日経平均は約1万5千円、2020年1月の日経平均は約2万7千円で、6年と少しで約1・8倍になったことに対し、私の7万3千円は6年と少しで、約13・7倍の100万円になったからである。増加分をパーセントで表せば、日経平均が80%増、私のトレードが1270%増となる。
仮に暴落が起きて、日経平均が2014年8月当時の1万5千円になったとしても、50万円程度は残るはずである。事実、2020年5月にコロナショックで日経平均が1万6千円台になったときには、保有株の評価額が一気に約半分となった。仮に100万円が市場の暴落で50万円になっても、7万3千円が50万円になったのなら、約7倍である。運用としては、それでも成功と言えるのではないだろうか。

本書では、そんな株に対しての知識と興味が薄い私が、多忙なサラリーマンをやりつつ、どのようにして個別株を運用していたのかを、実際に買付した銘柄を含めて紹介したい。
サラリーマンと家族サービスと不動産投資を生活のメインにしながら、その傍らで行っていた株式投資なので、当然、ほとんど時間を掛けない方法になる。実際に掛かる時間は、年6回程度の株の銘柄選定に各3時間程度、それ以外は、ほったらかしで口座も見ず、暴騰して来たら売るというだけである。売りにはほとんど時間は掛からないので、1年に株に掛けている時間は恐ろしく少ない。

本書で紹介するのは、そのような手法であるため、日々、株の研究を重ねている方、株を愛している方は精神衛生上、この本を読まないことをお勧めする。
お勧めするのは、NISAという税制上たいへん優遇されている制度があるのは知っているが、株には興味がないけど楽して稼ぎたい、サラリーマンの仕事が忙しいので、株について勉強している時間も、株の運用に掛ける時間もないが、少しはお得に運用をしたいという方々である。
私がどのような手法で株の銘柄を選定し、実際にどのような銘柄をNISA口座で買って、100万円に到達したかなどをこの後で紹介していくが、まずは、なぜ7万3千円というケチな金額でスタートしたのかを紹介する。
この内容はブログに書いたものとほぼ同じなので、ブログを読んだことがある人、手っ取り早く手法や実際取引した銘柄を知りたい人は、飛ばしていただいて構わない。

弱小大家父さん (著)
出版社 : NextPublishing Authors Press (2021/1/18)、出典:出版社HP