セミリタイアの方法はどうすれば? セミリタイアしたい人の投資ガイド

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セミリタイアの方法とは?

近年、投資によって資産を増やして早期退職を目指す人が増えています。本書のテーマも、セミリタイヤを目指す人、完全にリタイアしたい人などに向いたものになっています。
扱う題材は、株式投資と不動産投資の解説という、かなり一般的なものですが、本書が他の書籍と異なる点は、セミリタイアを目指すまでの手順がかなり具体的に書かれていることでしょう。

「投資ガイド」とタイトルにあるように、セミリタイアまでの道のりを登山に例えて、ゴールまでに小さな目標を設定しているため、自分自身の人生設計に落とし込みやすいと思います。所々で筆者が培ったノウハウが反映されていることも、内容の理解に役立つでしょう。ただし、筆者も書いているように、これまで投資に馴染みがなかった方には聞き慣れない用語が出てくることがあるため、全く投資に関する情報を知らない方は、図が多くわかりやすい投資の書籍を読んでからの方が理解しやすくなると思います。

また、本書の構成自体は、他の投資本でも見受けられるものですが、本書の場合、たいていの人が実際にやってみないと気づかない注意点を的確に示していたり、自分自身の状況や特性に合った投資戦略の見つけ方を示している点は、他の投資本よりもよいと感じます。

一方で、文章が多く、図や画像が他の投資本より少ないことは残念な点だと思います。さらに、解説の部分では、著者の認識に注意が必要な部分もあります。例えばp.34において、仮想通貨とコモディティをゼロサムゲームとしていますが、ビットコインやゴールドの事例を考えると、ゼロサムゲームと言い難いでしょう。p.132のREITの説明も、株式ほどのボラティリティではないとしていますが、コロナショックでのREIT価格の下落は大きく、銘柄によっては、株式以上の下落を示しました。そのため、詳しい内容よりも投資の方針策定から実行までの流れを知ることを本書を読む目的とする方が良いと思います。

全体的な流れとしては、第1章でセミリタイアの概念の説明から始め、第2章では、投資に関する基本的な考え方の紹介を行い、第3章では、株式投資のやり方を解説しています。第4章は、株式投資で大きなリターンを得ることを目指す方法の紹介をしています。第5章は、不動産投資のやり方がテーマになっており、第6章は不動産投資でより大きなリターンを狙う方法を解説してます。最後の第7章では、実例からセミリタイアのあるべき姿を考える内容となっています。

 

はじめに

「資産運用だけで、ある程度生活できるようになりたいのですが、どうしたらなれますか?」本書は、ファイナンシャルプランナーである私のクライアントからの、この何気ない質問から生まれました。本書を手に取っておられるあなたにとっても、「セミリタイア」という言葉は魅力的な響きかもしれません。
誰も予想もしていなかったコロナ禍を機に、これまでの働き方を見直す動きが盛んです。経済活動が停滞し、会社業績や給与がいかに不安定かということを痛感した方も多いと思います。

安定した生活を送るためには、1つの収入だけに頼るのではなく、収入の複線化が求められています。たとえ不測の事態で給与が滞る事態になっても、2つ目、3つ目の収入の手段を持っていれば、あるいはそのスキルがあれば動じることはありません。
実際に、コロナを契機に若者の証券口座が増えているという報道がありました。いよいよ「貯蓄から投資へ」の時代なのかもしれません。ポストコロナ、ウィズコロナの時代にこそ、正しい資産運用の知識が求められています。
投資や資産運用と言えば危険なものと思われがちですが、決してそんなことはありません。多くの方は、正しく学んでいないだけなのです。

短期間にリスクを取ってお金持ちになる方法もあれば、堅実に着実に増やす方法もあります。一律に語るのは間違いです。誰でも正しく学べば、結果を出すことはできるのです。投資をやっているものの自分の手法に自信が持てない方は、ぜひ本書を参考にしてください。
私は、「自立!能動!自由闊達!年齢不問!」をモットーとする運用相談専門のファイナンシャルプランナーであり、個人投資家でもあります。投資信託、ETFから株式投資、不動産投資までを幅広く対応し、セミナー活動やレッスンをしています。受講生は20代から70代まで多岐にわたり、多くの方のご相談に乗ってきました。

個人投資家としても、株式投資では11年連続年間利益プラスを継続しており、不動産投資では5年で純資産を4倍にすることができました。活動の中で出会った仲間たちと不動産投資サークル「ふどうさんぽ」(https://www.fudousanpo.com/)の運営にも関わり、これまで600名を超す投資家の方々とも会ってきました。私の体験だけではなく、多くの方が資産形成に成功するのをこの目で見てきました。本書では、そんな経験の中で得た実践的なノウハウを詰め込んだつもりです。

「セミリタイア」したいけど自分にできるだろうか? どんなやり方があるんだろう? どれくらいの時間がかかるんだろう? あなたもそんな疑問をお持ちかもしれません。
投資で収益を上げたいと思っても、投資手法には様々なものがあります。投資信託に、株式投資に、不動産投資。どれが優れているんでしょう? 勉強すればそれぞれの手法への理解は進みますが、自分が選ぶべき手法に迷ってしまいます。それぞれの違いや比較を語るものは多くはありません。どんな目標ならどんな投資が向くのか? 自分に向く投資法はどれだろう? 自分にできるものはどれ?
私自身がそんな疑問を持つ中で、本書では様々な投資手法を広く公平に比較すること、それぞれの特徴をまとめることに主眼を置きました。そのため、1つひとつの投資手法については、ポイントのみに絞り込んで記載しています。初心者の方には難しい単語が並んでいるかもしれません。興味をひかれた投資手法があれば、ぜひ本書をきっかけに深掘りしてください。1度読んだだけではピンとこない部分もあるかもしれませんが、あなたの実践の中で、きっとその意味が見えてくると思います。

「セミリタイア」を山に例えて、そこに登るにはどんなコースがあるのか、それぞれはどんな道なのか、向き不向きはどうなのか。あなたが登り始める前の手助けとなるよう、全体を俯瞰する地図になるように意図しました。
株式投資と不動産投資を中心にしていますが、その中にもいくつもの投資戦術(コース)があります。利回りがそれぞれどう違うのか。どんな注意点があるのか。コース別の特徴をご紹介し、あなたがどのコースを選ぶべきか、その判断材料を広く提供したつもりです。
利回り10%を目指す戦術もあれば、利回り20%以上を目指す戦術もあります。もちろん、高い利回りを実現するにはそれなりの労力とスキルが必要です。成果を上げるためにはどんな行動が必要なのかも書いていますので、自分にできる範囲と達成できる利回りのイメージを掴んでください。
すでに株式投資や不動産投資を実践している方は、その部分だけを読んでいただいても結構です。ご自身のやり方に抜けはないか、勘違いはなかったかを確認してください。きっと参考になる部分があるはずです。
「セミリタイア山」にはどんな登り方があるのか。石ころだらけだけど距離が短いのか、くねくねと長い道だが歩きやすいのか。本書がガイドブックとして道案内をさせていただきます。
本書を読んで、あなたの登るコースが決まったら、さあ登り始めましょう!
投資は、正しく登れば結果はついてきます。それほど危険な道ばかりでもありません。
「お金に働いてもらえば、人生2馬力、3馬力!」あなたもセミリタイアという頂きを目指してみませんか?

2020年12月
山本 常勝

 

目次

はじめに

第1章 「セミリタイア」という山を知る
1 「セミリタイア」とは
2 なぜ今「セミリタイア」

第2章 セミリタイアへの準備…投資にまつわる勘違い
1 資産形成の正しい始め方…投資の5ステップ
2 資産形成の王道は株と不動産…学びと実践で着実なリターン
3 あなたに向いているのはどっち?…株式投資と不動産投資の比較
4 期待収益率と登頂までの所要時間…徐々にスキルアップしよう
5 投資収益は不労所得という勘違い…投資はリスク・リターンとワークで考える
6 教科書と専門家に頼ってはいけない…自分の頭で考える
7 道案内人はどこにいる? 業界の裏側
8 安全で確実な休日登山家…すべての社会人の必須スキル

第3章 株式投資という山に登ろう…本格登山家(利回り10%〜)で8合目へ
1 運と実力の勘違い…スキルレベルの3段階
2 道路標識だらけで道に迷う?…情報はこうやって選別する
3 株式投資戦略の3パターン…戦略と収穫サイクル
4 戦略別の購入ステップ…正しいステップで購入する
5 戦略別必要スキル…損失から学ぶ
6 PERの誤解とPEGレシオ…テンバガーはなぜ生まれるか
7 勝てる5つの上昇シナリオ…本格登山家になる
8 チャートで見るシナリオの違い…シナリオを組み合わせる
9 銘柄の再評価と投資の評価…成績の計り方・売買騰落レシオ

第4章 株式投資という山に登ろう…アルピニスト(利回り20%〜)で目指せ頂上へ
1 難所の勘所…リスクマネジメントと感情コントロール
2 億り人(おくりびと)の秘密…利回り30%〜でスピードアップ!
3 ポジションバランス法の詳細…トレーディングの基本
4 魅力的な海外株式…狙え、王道優良株発掘

第5章 不動産投資という山に登ろう…本格登山家(利回り10%〜)で8合目へ
1 CFと目標資産額の関係…目標資産額を決める
2 不動産投資の類型を知っておく…3つの商品レベル
3 事業特性への理解…不動産投資は投資じゃない?!
4 甘い言葉にご用心…皆が弱い「節税」という響き
5 資産形成の3段階…ステージ別購入物件
6 不動産投資体系…不動産投資の4要素
7 物件別の特徴と注意点…投資向きの物件とは
8 物件探しと調査の勘所…売り手の目線で考える
9 融資戦略…金融機関はここを見る
10 満室経営満室維持のための5つのポイント

第6章 不動産投資という山に登ろう…アルピニスト(利回り20%〜)で目指せ頂上へ
1 投資評価の物差し…誰も言わないキャピタルゲイン
2 売却時期…売却検討の6つのタイミング
3 バランスシートコントロール…純資産を理解する
4 法人活用…メリットの多い法人設立
5 ローンのレバレッジの驚異…不動産投資の醍醐味はローンにあり

第7章 セミリタイアで見える景色…あなたに合ったセミリタイアとは!
1 隣りの投資のカリスマたち…自由なライフスタイルあれこれ
2 成功者がやっているたった2つのこと…頑張らなくてもいいから工夫する
3 2つの投資を使いこなす…資産形成の3段階とは
4 頂上からその先の道人生のハンドルを握る
5 最後の難問お金の知恵と残すべきもの

おわりに